ブランディングで成果を得るために必要な5つのSTP戦略

ブランディング成果を得るためには?

ブランディングで最大の成果を得るには、市場を絞る必要があります。では、市場を絞るにはどのようにすればよいのか?

 

デジタルマーケティングの専門家

杉山 永里子です。

 

市場全体へブランドを売るより、あなたのブランドに興味がある市場だけに向けて売ったほうが、少ない労力で大きな成果を得やすくなります。

 

今回は、「ブランディングで成果を得るために必要な5つのSTP戦略」についてご紹介します。

 

STP戦略とは?

有利な市場を選ぶためにおこなう戦略が、STP戦略です。STP戦略のSTPは、それぞれセグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングを意味しています。

 

顧客目線で市場を選択できるように、STP戦略に2つの工程を加えます。加える工程は、ペルソナ設定とインサイトの2つです。これらを含めた5つの手法を、順番に解説していきます。

1 市場をセグメントに分ける

セグメンテーションとは、市場をセグメントという塊に分類していくことです。近年の市場ではニーズが多様化しているため、万人向けの商品を販売しても見込み客の心に刺さりにくくなってきています。

 

まずは、セグメンテーションをおこない、あなたのブランドの強みが活かしやすい市場を見つけましょう。セグメンテーションはSTP戦略の前提であり、ここで間違うと戦略自体が意味をなさなくなります。

 

そのため、適当にセグメンテーションをおこなわないようにしてください。セグメンテーションには2つの方法があります。

 

消費者セグメンテーションとマーケットセグメンテーションの2つがあり、目的によって使い分けます。

 

消費者セグメンテーションは、ニーズがありそうな見込み客を分類するのが目的です見込み客の住んでいる場所や年齢、性別、価値観など、見込み客の属性によってセグメント分けをおこなってください。

 

たとえば、東京に住んでいる20代女性は、高級感のあるものが好き、といったセグメントが考えられます。マーケットセグメンテーションは、市場の属性を細かく分け、隠れた市場を発見するのが目的です。

 

大きな市場を切り分けていき、強い企業が参入していない市場を割り出します。

 

例を挙げると、パソコン市場をデスクトップパソコンとノートパソコンに分けたり、デスクトップパソコンを低価格と高性能に分けたりするイメージです。

2 ターゲットを設定する

ターゲティングとは、セグメンテーションした市場からターゲットとなるセグメントを選ぶことです。ブランディングの初めにおこなったリサーチ分析を踏まえて、セグメントを選択してください。

 

ここで注意したいのは、ターゲットが広い範囲にならないよう絞る必要があることです。仮にターゲットを「20代女性」のように広い範囲にすると、チーム内で違うターゲット像を持ってしまう可能性があります。

 

たとえば、あなたが独身のサラリーマンをイメージしたとしても、他の人はフリーで働いている既婚者をイメージするかもしれません。これではチーム内で進む方向が一致せず、ブランディングが成功しない原因になってしまいます。

 

ターゲットを絞ると見込み客が減るのではと心配になるかと思いますが、ターゲッティングは購入する見込みがない人を除外する取り組みでもあります。

なるべくターゲットを絞ってみましょう。

 

ターゲッティングでうまく絞れたかどうかを判断する基準として、6Rというフレームワークがあります。

 

  1. Realistic Scale、市場規模が十分あるか
  2. Rival、強い競合が少ないか
  3. Rate of Growth、これからニーズが増えそうか
  4. Ripple Effect、口コミの発信源となりそうか
  5. Reach、ターゲットにアプローチする手段があるか
  6. Response、ターゲットの測定や管理ができるか

 

これらを全て満たすターゲットであれば、ブランディングが成功しやすいターゲットに設定できたとみていいでしょう。

3 ペルソナを設定する

ターゲットを設定したら、ターゲット像をより鮮明に想定できるようペルソナを設定してください。

 

ペルソナとは、ターゲットに含まれる個人の人物像です。できるだけ範囲を絞ってターゲットを設定したとしても、チーム内でターゲット像は多少なりともズレます。

 

ブランディングにおいては他の部門や企業とターゲットを共有する場合もあるので、さらにズレが大きくなるでしょう。こうしたズレを防ぐためにペルソナを設定し、全員が一個人を想定できるレベルの人物像を作る必要があるのです。

 

ペルソナを設定する際は、ターゲットに最も適している人物を1人作り上げましょう。たとえば、年齢は20代のような範囲ではなく、23才のように1つの数値を指定してください。

 

そして、個性が出るよう様々な項目を詳細に設定します。プロフィールに書くような項目だけでなく、普段感じていることや行動習慣などのバックストーリーも設定すると、さらに個性的な人物像ができあがります。

 

詳細に設定したペルソナは、顧客目線で戦略を考えるのに役立ちます。なぜなら、戦略を決める際に、ペルソナで設定した人物が喜ぶかどうかを基準に意思決定ができるようになるからです。

 

20代女性が喜ぶかどうかは人によるので判断できませんが、知り合いのAさんが喜ぶかどうかは人物が特定できるので想像しやすくなります。このように顧客目線で考えやすくなれば、企業目線だけで戦略を決めてしまうのを防げるでしょう。

4 インサイトを見抜く

顧客のニーズに応えるためには、インサイトを見抜けるようにならなければいけません。インサイトとは、顧客がなんらかの理由で言葉にできない本当の願望です。

 

たとえば、「プログラミングを学びたい」というニーズがあるとします。しかし、このニーズを求めている顧客は、実際はプログラミングを学習したいわけではありません。

 

顧客は、プログラミングを習得した先にできることを求めているのです。それは自分が考えたアプリを開発するためかもしれませんし、プログラマーとしてお金を稼ぐためかもしれません。

 

こうしたインサイトも見抜かなければ、顧客目線の戦略を考えるのが難しくなるでしょう。ただし、インサイトを見抜くといっても、何かしらの行動や施策をとるわけではありません。

 

たとえコンサルティングをおこなったり、アンケートをとったりしても、顧客が言葉にできないインサイトを見つけることはできないでしょう。ではどうするかというと、普段から顧客の態度や言動に目を向け、鋭い洞察で探り当てることになります。

 

顧客が言葉にできない理由は、顧客自身が気付いていない場合もありますし、人に話しづらい内容だから口にできない場合もあります。いくら顧客に問いかけてもインサイトは出てこないので、こちらから積極的に探りに行きましょう。

 

インサイトを見抜くコツは、顧客の先入観を見つけ、その先入観に対して思考を巡らすことです。顧客が解決したい問題は、顧客の持つ先入観が原因である場合が多くあります。

 

そのため、顧客がなぜその先入観を持っているのか、先入観を変えるにはどうすればいいか、といった視線でニーズを探すのが、インサイトを見抜く1つの方法です。

5 ポジショニングを設定する

ポジショニングとは、独自の立ち位置を設定することで競合と争うことなく購入してもらえる状況を作ることを指します。差別化とも言い換えられそうですが、差別化は競合と比較されることを前提としています。

 

それに対してポジショニングは、比較対象が存在しない状態を作るためにおこないます。もしポジショニングがうまくいけば、ターゲットの独占も夢ではありません。

 

ポジショニングを設定するには、ポジショニングの軸を決める必要があります。軸を決めるには、ポジショニングの切り口と選択基準を知りましょう。ポジショニングの切り口は、ブランドアイデンティティを始めとしたブランド戦略や提供時間、空間の作り方など、挙げればキリが無いほど存在します。

 

2つの切り口を軸にしたポジショニングマップで比較しながら、競合と被らない切り口を探し、ポジショニングの軸を決めてください。ポジショニングを決定する選択基準は、顧客との関係性です。

 

独自の立ち位置が獲得できるか、競合に影響を与えられるかといった基準も当然重要になります。しかしそれ以上に、顧客が求めているかどうか、顧客から見た役割が明確か、といった基準を満たしていなければ、ポジショニングする意義が薄れてしまいます。

 

差別化することに気を取られて顧客視点を忘れてしまわないように注意してください。

 

まとめ

有利な市場を選ぶためにおこなう戦略が、STP戦略であり、ブランディングで成果を得るためには

 

1セグメントに分ける

2ターゲットの設定

3ペルソナの設定

4インサイトを見抜く

5ポジショニング設定

 

これらの手法を順におこなうことで、あなたのブランディングにあった市場に限定することができます。

 

ただし、STP戦略は一歩間違えるとブランドが売れない市場を選んでしまいます。売れない市場を選ぶ原因として多いのは、企業目線で戦略を決めてしまうことがありますので、気をつけましょう。

 

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